import delays

今後一年、ニュージーランド(以後NZと表記)からの輸入の遅延ならびに混乱が発生しそうです。以下がその要因です。

 

(1)はちみつ処理の遅延 

 NZでは酪農用牧草地の再生にグリホサートが広く用いられています。この結果牧草地の植物、たとえばクローバーの花に残留農薬が蓄積されます。パッキング業者の中には、マヌカはちみつの嵩増しのため、クローバーのはちみつをブレンドする会社があります。あるいは、少量の高い格付マヌカから、大量の粗悪品を作るためにクローバーをブレンドする場合もあります。クローバーがブレンド用に用いられるのは、クローバーはちみつがマヌカの味をそれほど変えないことによります。

 

このようなブレンドの手法は、マヌカにグリホサートが混入した経路を探ることで発覚しそうです。しかしパッキング業者が直ちにこのようなやりかたを中止するとは考えられません。パッキングするはちみつにグリホサート残留がないことを保証するには、はちみつ加工の各過程での見直しを行う必要があり、準備が整うには何ヶ月も要するものと考えられるからです。

 

(2)輸出前検査の遅延 

日本の厚生労働省によるNZ第一次産業省への要請に従い、2021年1月21日、日本向けはちみつのグリホサート残留値は、1kgあたり0.01mgを上回ってはならないという法令が発効しました。ところが、1月中旬の時点でグリホサート試験に必要となる、国際認証機関International Accreditation NZ (IANZ)による認定を受けていた検査機関は、NZ国内ではアシュア・クオリティ社ただ一社のみでした(同社およびIANZはともにNZの国有機関です)。

 

民間の検査機関、たとえばヒルズやアナリティカもグリホサート検査を普段から行ってきましたが、今回の法令で定められた検査を行うにはまずIANZの認定を受けなくてはなりません。こうした民間の検査機関の認定が済むまでの間は、検査の需要に対し供給が追いつかず、証明書の発行にたいへん時間がかかることが予想されます。

Radio New Zealand 2021.1.20
Radio New Zealand 2021.1.20

(3)日本の海港・空港における手続きの遅延厚生労働省は、日本へのはちみつ輸出に先立ち、NZ国内でのグリホサート残留検査を義務づけることにとどまらず、輸入後さらに同省独自のグリホサート検査を実施する意向のようです。つまり各地の検疫所で、これまで輸入食品に対し無作為抽出で行ってきた検査(サンプルを日本国内の研究所に送る方式)を、はちみつの場合にはカーゴ内の全バッチについて行うということです。

これにより、食品輸入届出書の認可を受けるには、これまで以上の時間を要することになるでしょう。これまで通常は数時間以内に認可が下りていましたが、今後は一週間以上かかることが予想されます。その間カーゴは空港・海港会社の倉庫に留め置かれることになります。倉庫の使用料は輸入者が負担することになるでしょう。

 

(4)NZにおける出荷の遅延 

 オークランド港の混雑により、日本・NZ間のコンテナの積み込みに遅れが生じています。港は現在、ベテラン従業員の不足、ストラドルキャリアをはじめとする、自動化設備導入の失敗の影響、現場での死亡事故の発生などに苦悩しています。港はオークランド市営であり、実態に即さない、硬直した官僚主義的な運営が批判されています。

 

空撮写真を見れば、ワイテマタ湾内に、ドックでの積み込みを待って停泊中の船舶がたくさんあることがわかります。この混雑は既に8ヶ月続いていますが、どうやら2021年中には解決されそうにありません。オークランドでの出荷の遅れは、連鎖的に他の港、例えば日本むけのはちみつを大量に取り扱うタウランガ港などにも影響を与えています。