有機はちみつの残虐な事実

「有機製造」は、みつばちにとっての死刑宣告

「有機」認定を受けているということを高く評価されるお客様もおられるかもしれません。しかし「有機製造」は、みつばちにとっての死刑宣告にも等しいものであるのをご存知でしょうか? みつばちのコロニーを壊滅させてしまう寄生虫、ミツバチヘギイタダニへの有機的対処がその一例です。

 

養蜂の場合、ダニに対しては有機的対処(薬剤を全く使用しないか、あるいは濃度の低い薬剤を使う。ソフトメソッド)か、化学的対処(化学薬品を使用する。ハードメソッド)のいずれかを選ぶこととなります。ソフトメソッドの場合、ハードメソッドに比べると薬剤使用の頻度が高いため、結果的にはみつばちのストレスが蓄積することとなってしまいます。

 

みつばちのストレス蓄積よりさらに深刻なのは、ソフトメソッドでダニ害を減らすことができても、完全にダニを死滅させるわけではないので、結果的に多数のみつばちが死んでしまうことです。1年もたたないに、みつばちのコロニーが崩壊してしまうことがあるのです。モソップ社は「有機はちみつを製造しているところでは、ミツバチヘギイタダニに対処することが困難で、非常に多くのみつばちを失っているものと考えられる」という見解を述べています。

 

有機はちみつの製造者の中には、このように大量にみつばちが死んでも、販売業者や他の養蜂会社から新たな巣を購入して補充するところもあります。これはつまり、有機認定を受けるために、みつばちを犠牲にしていることにほかなりません。このようなやり方が出来るのは、有機認定を受けることで、はちみつの販売価格が非常に高いからこそです。

 

弊社の仕入先ではどこも、有機はちみつの製造は、自然食品への需要に応えるという装いの一方で、人間がもっとも大切に保護すべき昆虫の一つに対して、コロニーの壊滅に至る非常に残酷な扱いをすることになってしまいがちであると考えています。

 

みつばちが人間に与えてくれるのは、はちみつだけではありません。花粉を運ぶいきもの(ポリネーター)でもあるみつばちは、生態系の健康性を高めます。みつばちの存在がなければ、私たちの食べられる植物は、風媒花である米やトウモロコシ、その他の穀類に限られてしまうのです。

 

みつばちがいなければ私たちは、カボチャも、トマトも、アボカドも、キイも、りんごも、柑橘類も、アーモンドやピーナツもない世界に生きることになるでしょう。

 

このほかにももうひとつ、みつばちが保護されるべき特別な理由があります。それは、みつばちは動物界で、自分たちが生きていくうえで、ほかの生き物や植物を殺さない、唯一といえる種であることです。つまりみつばちは、彼らを取り巻く自然環境すべてに、好ましい働きをしてくれる生き物なのです。

責任ある養蜂

私どもでは、ミツバチヘギイタダニの扱いについては、ソフトメソッドとハードメソッドの両方をうまく組み合わせるやり方こそ、責任ある養蜂だと考えています。

 

ソフトメソッドでは、ダニトラップ(雄蜂誘引巣脾)を仕掛けたり、ダニ専用巣房を作り、その巣房を廃棄したりします。ハードメソッドでは、有機薬剤(薬草・タイムなどの精油)および化学薬品(シュウ酸及びギ酸)を利用します。(1)

 

責任ある養蜂を行っているところでは、常に同じハードメソッドを使うわけではありません。いろいろなやり方を組み合わせ、ダニが特定の化学物質への耐性を持つリスクを減らしています。また、新しい方法にも挑戦しています。これが、ラボの残留農薬検査では、殺ダニ剤が検査対象とされていない理由です(2)

ダニ対策は通常、殺ダニ剤がはちみつに入らないよう、はちみつが作られる開花期(晩春から晩夏)を避け、冬から春にかけて実施されますが、それでも少しは検出されることがあり得ます2022年4月発行の『食品衛生学雑誌』第63巻第2号(日本食品衛生学会編)では、2015年から2021年に作られた、日本産及び輸入はちみつ中に、殺ダニ剤の残留が確認されたことが報告されています。

 

この検査では、2015年に生産されたニュージーランド(NZ)のはちみつ7種も対象とされました。このうち5種から殺ダニ剤の残留が認められ、その濃度は、はちみつ1キログラムあたり1.1マイクログラム(=0.0011ミリグラム)から4.1マイクログラム(=0.0041ミリグラム)でした。日本で定められた殺ダニ剤残留の一律最大残留限(MRL)が1キログラムあたり0.2ミリグラムですから、NZ産はちみつから検出された値は、日本の法定最大値の0.02%以下に過ぎません。(3) NZのはちみつ中の殺ダニ剤MRLは、1キログラムあたり0.01ミリグラムと、日本のMRL20倍厳しい値が定められています(3)


ミツバチヘギイタダニはもともと、トウヨウミツバチ(Apis cerana)の寄生虫で、1900年代初頭にセイヨウミツバチ(Apis melifera)への感染が始まったと考えられています。このダニ英名はvarroa destructor (壊滅的な打撃を与えるダニ」の意)で、吸血鬼に喩えられます。大半の寄生虫とは異なり、このダニは宿主を死滅させてしまいます。

 

このダニは成虫に寄生し、巣房内のみつばちの幼虫や蛹に産卵します。つまり、みつばちの巣内で繁殖できるのです。セイヨウミツバチは、この寄生虫に立ち向かう術が全くありません。生き残るための唯一の希望は、人間が介入することなのです。

 

ミツバチヘギイタダニは、はちみつ生産国のほぼ全域に広がっています。NZでこのダニの存在が初めて確認されたのは、2000年6月のことでした。2022年6月末には、それまで唯一、この恐ろしいダニに汚染されていなかったオーストラリアでも、存在が確認されました。

 

 ミツバチヘギイダニ(このダニに使われる薬品ではなく、ダニそのもの)と、ネオニコチノイド系農薬が、セイヨウミツバチにとって最大の脅威となる、蜂群崩壊症候群の原因だと考えられています。


「化学的制御、つまり一般的に言う殺虫剤には、有機物質と化学物質がある。殺ダニ剤が有機物質であれば、養蜂に携わる人間と、みつばちやはちみつに与える悪影響が少ないというわけではないと理解しておくことが肝要である」(NZ第一次産業省、バイオセキュリティ)


(1)薬剤は液状で、みつばちに直接滴下するか、布きれなどにしみこませ、巣内で有効成分を蒸発させる。

(1)Miticides registered for use in NZ include Fluvalinate (Apistan®), Flumethrin (Bayvarol®), Armitraz (Apivar® ,Apitraz®), formic acid(FormicPro®),thymol and other essential oils (Apiguard®, ApiLifeVar®), and generic variations of oxalic and formic acids.

(2)大場由実 et.al(2022)「はちみつ中における殺ダニ剤の残留実態調査」『食品衛生学雑誌』第63巻第2号. 公益社団法人日本食品衛生学会. 東京都健康安全研究センターによる調査報告。この調査結果の概要は「蜂蜜の殺ダニ剤に注意」のタイトルで『食品と暮らしの安全』(NPO法人食品と暮らしの安全基金刊)2022年6月号 (No. 398)に掲載されている。

(3)東京都健康安全研究センターが調査対象とした殺ダニ剤は、アミトラズとプロパルギットの二種類のみであると考えられる。
(4) NZの場合、輸出用食品と国内消費用食品では殺ダニ剤MRLが異なる。輸出用食品のMRLは1キログラムあたり0.01ミリグラム、国内消費用食品のMRLは、1キログラムあたり0.1mgである。

出典

(1)Varroa mites (Varroa destructor). (Fact Sheet 50050-2021-Varroa-mites) Biosecurity New Zealand, Ministry for Primary Industries. https://www.mpi.govt.nz

ニュージーランド第一次産業省(2022)「ミツバチヘギイタダニ(仮題)」. NZ第一次産業省ウェブサイト、バイオセキュリティ概況報告書(邦訳なし).

https://www.mpi.govt.nz/dmsdocument/50050/direct / 2022年7月3日閲覧

(2) "The Plight of the Humble Bee". New Zealand Geographic. Nov.-Dec. 2003.

https://www.nzgeo.com/stories/plight-of-the-humble-bee/

アダム・フリッカー(2003)「慎ましきみつばち達の窮状(仮題)」『ニュージーランド・ジオグラフィック』2003年11-12月号. コウファイ・メディア(邦訳なし)

https://www.nzgeo.com/stories/plight-of-the-humble-bee/ 2022年7月3日閲覧

(3)"Managing Varroa Mites in Honey Bee Colonies". (Extension and Outreach―Small Farm Sustainability) Iowa State University.

https://www.extension.iastate.edu/smallfarms/managing-varroa-mites-honey-bee-colonies

デイヴィド・R・ターピーet.al (2017) 「ミツバチのコロニーにおけるミツバチヘギイタダニ対策(仮題)」アイオワ州立大学公開講座・中小農家の持続可可能性. アイオワ州立大学.(この資料はアイオワ州立大学がノースカロライナ大学の許可を得て転載した。邦訳なし)

https://www.extension.iastate.edu/smallfarms/managing-varroa-mites-honey-bee-colonies

2022年7月3日閲覧

 

ミツバチヘギイダニ:有機はちみつの残虐な事実 | 2022.7.4