myth and fact


1:マオリ(ニュージーランド原住民)の人々は何世紀にもわたり、健康のためマヌカはちみつを利用してきた。

 

事実ではありませんニュージーランドにもとから棲息していたみつばちは、マヌカみつを集めません。マヌカはちみつが初めてニュージーランドで作られたのは、オーストラリアを経てヨーロッパミツバチが持ち込まれた後の1839年です。

 

したがってニュージーランドのマヌカはちみつの歴史はせいぜい170年あまりです。さらにヨーロッパミツバチが持ち込まれてからも、マヌカはちみつが商業的に生産されるまでに30年の年月を要しています。

 

例えばニュージーランド最大手に数えられるパッキング会社のエアボーンが、マヌカ単独のはちみつを売り出したのはなんと1985年になってからのことでした。

 

とはいえマオリの人々がマヌカの樹皮や葉、樹液や実の莢(さや)を病気の治療薬として用いていたことは、遅くとも1840年代以降、ヨーロッパからの入植者が残した記録にたくさん見うけられます。

 

ニュージーランドのインコが寄生虫を駆除するのに、マヌカの樹皮や葉を利用していたという記録も残っています。

 「オールド・ウェスト」(旧西部)では、万病に効くとして「ヘビの油」が売られていました。今日では、でまかせを言って怪しげな製品を売る人物を指すのに「ヘビの油売りsnake-oil salesperson」という語が用いられます。



2.「医療品グレード(clinical grade/medical grade)のマヌカ」というような広告をごらんになった方もおられるかもしれません。しかしほんとうにそのようなグレードのマヌカが存在するのでしょうか? 瓶詰めしたマヌカはちみつを、人間の食用として販売している限り、こうした広告は虚偽であると言えます。なおユニーク・マヌカファクターはちみつ協会(UMFHA)では「臨床用」あるいは「医療品」グレードのはちみつを認めていません。

 

もしも、傷口に塗布するという用途でガンマー放射線を照射したマヌカはちみつがあれば、それに「臨床用」あるいは「医療」グレードという名称を与えることも可能でしょう。なぜなら放射線照射することで、傷口にボツリヌス症を発生させうるクロストリジウム胞子を死滅させるからです。

 

放射線照射したマヌカはちみつを「医療用」として、たとえば傷口に使用することを認めている国があっても、放射線照射マヌカを「内服薬」として認可している国はありません。

 

放射線処理が行われていない天然のマヌカはちみつは、食品であり、かつ民間薬品でもあります。


3. マヌカの木はニュージーランドにしかない。

事実ではありません

 

 「マヌカ」は学名Leptospermum scoparium(フトモモ科ギョリュウバイ)という木の
マオリ名です。この木はオーストラリア南西部(ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、タスマニア州)およびニュージーランド全土に自生しています。オーストラリアのフトモモ科の木はおよそ85種類あり、花蜜に強い抗菌力を持つものもあります。一例が
Jelly Bush 「ジェリー・ブッシュ」とも呼ばれるLeptospermum polygalifoliumです。


4. マヌカはちみつを金属製スプーンで食べてはいけない。

事実ではありません

 

マヌカを金属製スプーンで食べてはいけないというのは本当か、という問い合わせを
いただきました。この質問がでてきた背景には、マヌカの抗菌効果が減るので金属製
スプーンを使用しないほうがよいとのアドバイスを行う一部の健康食品店の存在が
あると思われます。

このアドバイスの理由として、はちみつの酸(註1)によりスプーンの金属が
腐蝕され、この反応がはちみつに影響することが挙げられています(はちみつの酸度は
オレンジやレモンと同程度です)。もしはちみつを数週間、金属の上に放置すれば、
表面にはっきりとわかる小さな腐蝕が現れるかもしれません。

しかしこのような腐蝕が、はちみつとスプーンが接触しているわずかな時間内に
起きることは考えられません。さらに、スプーンやフォークの大半は、酸により腐蝕が
生じるアルミや銅製ではなく、耐酸性のステンレス製です。はちみつを耐酸性のない
金属容器で保存すべきではないことは事実ですが、金属製スプーンで食べては
いけないというのは事実ではありません。

 

[1]はちみつにはアミノ酸・有機酸・脂肪酸・芳香族アミノ酸が含まれています。以下のリンクで、「はちみつの塩基性度と酸」をご参照下さい。www.nhb.org.


5. マヌカは虫歯を予防する

 

マヌカが虫歯予防に効果があるという説は、マヌカ研究の父と言われる
ピーター・モランPeter Molanによる論文の、ほんの一部分が拡大解釈されたもの
と思われます。

 

モランは2001年に発表した論文[註1]中で、マヌカを「歯周病、口腔癌その他の
口内疾患」の治療に用いる可能性について言及しています。ただしこれはマヌカに
虫歯を予防する効果があるかもしれないという意見にすぎず、モランはこの件について
エビデンスのある結論を示していません。

 

むしろロチェスター大学医学センターの研究では、はちみつと炭酸飲料および砂糖は、
ほぼ同程度で虫歯の原因となることが示されています[註2]。最後に、動物(人間に
飼育されているペットを除く)のなかでほぼ唯一虫歯になるのが、はちみつを大量に
食べるクマであるということも申し添えておきましょう。

 

[1] General Dentistry. November-December 2001. p. 586. The Potential of Honey to Promote Oral Wellness. Peter C. Molan.

[2] Pediatrics. October 2005, Vol. 116 / 4. Comparison of the Cariogenicity of Cola, Honey, Cow Milk, Human Milk, and Sucrose. William H. Bowen, Ruth A. Lawrence.