factors that AFFECT UMF values


自然の要因

「同じマヌカの花から採れたはちみつなのにどうして抗菌効果の値に大きな幅があるのでしょう?」という質問をよく頂戴します。これには自然の要因と人為的な要因があります。

 

マヌカはちみつは農産物ですから、味や色あい、抗菌力の強さは気候や立地などの地理的要因に左右されます。たとえばりんごの場合でも、青森産と山梨産では味や色合い、それぞれの土地に最適なりんごの種類が異なります。

 

りんごよりさらにわかりやすいのが日本酒でしょう。日本酒は米(酒米とよばれる醸造用の米)と水を原材料として醸造されますが、製品の味わい、色、アルコール濃度が製造地により異なっているのはご承知の通りです。酒米や水は製造地により異なりますし、酒造業者により醸造の方法にも差があります。

 

もちろんはちみつは発酵食品ではありませんから、日本酒の製造とは事情が異なります。ニュージーランドのはちみつ製造業者は加熱・攪拌・冷却というプロセスを経てマヌカはちみつを結晶化させます。そして、この結晶化の方法も製造者により異なるのです。(註1)

 

特に抗菌力の高いマヌカはちみつの生産地は、ニュージーランド北島の東海岸地方です。この地域は南島に比べると気温も湿度も高めです。マヌカのさまざまな亜種(leptospermum scoparium)の存在も抗菌力に差がある理由に挙げられます。(註2)

 

はちみつの抗菌力を決める大きな要因が、みつばちが集めた全部の蜜に対するマヌカ蜜の割合です。相対的に純粋といえるマヌカはちみつを作るには、巣箱をどこに置くかについての経験と知識が要求されます。

 

マヌカと他の植物の開花期が重なると、みつばちはマヌカ以外の花蜜のほうを好んでしまうからです。みつばちにとっては、どうやらマヌカは一種の薬のようなもので、できれば避けたいもののようです。


マヌカはちみつの抗菌力の差は、人為的な要因と自然の要因がどう組み合わされるのかにより決まります。

 

人為的要因

マヌカはちみつを収穫すると、少量のメチルグリオキサール(MG)が含まれていることがあります。もし収穫したはちみつに大量のジヒロドキシアセトン(DHA)も含まれていたとしたら、それは時間の経過とともにメチルグリオキサールが化学的変化を起こしたものです。

 

そこで、マヌカ製造者は巣枠からみつを取り出すと、まずそのサンプルをラボに送り、DHA含有量の検査を依頼します。

 

自然変化したDHAを再度MGに転換させるためにみつを寝かせます。寝かせる時の温度と時間はさまざまです。アナリティカ・ラボラトリーズはニュージーランドの代表的な食品ラボの1つですが、このラボがマヌカを寝かせる時間と温度によるMG値の変化の予測を提供しています。この予測を以下の表2に示しました。

 

1のサンプルの場合、マヌカに含まれるDHA量は、みつ1キロあたり2,937ミリグラム、MG量は196ミリグラムです。これはUMF格付けでは8.4 (UMF5+)相当です。

 

表2は、はちみつを寝かせておく時間と温度によるMG量の変化を示すものです。これは、熟成期間や温度の差がワインやウィスキーの特性に影響を与えるのと少し似ているかもしれません。

 

たとえば、このマヌカはちみつを温度20度で4ヶ月寝かせた場合、MG1キログラムあたり424ミリグラムまで増えると予測されています(表2)。この値はUMF格付けの13.4(UMF10+)にあたります。ところが、同じマヌカはちみつを温度20度で8ヶ月寝かせた場合、予測されるMG含有量は1キログラムあたり567ミリグラムになります。これはUMF格付け15.9 (UMF15+)にあたります。

 

温度を27度まで上げ、寝かせる期間を8ヶ月にした場合、MG値は1キログラムあたり765ミリグラムにまで上昇すると予測されます。これは当初(196ミリグラム)の3.9倍の値で、UMF20にもなるでしょう。ところが、温度が34度になると、MG値はこんどは時間と共に減少すると予測されています。

 

はちみつ収穫後に寝かせておくのなら、賞味期間はいつからカウントするべきなのかという疑問ともたれるかもしれません。はちみつの賞味期間は、収穫した日ではなく、瓶詰めした日からカウントします。これはオリーブオイルと同じカウント法です。

 




https://www.analytica.co.nz/Tests/Honey-Testing/Forecast-MG-NPA-HMF


(1) 私どもがニュージーランドの仕入れ先5社を見学した際、社によりみつの絞りかたや結晶化・パッキングの方法がずいぶん異なっていることがよくわかりました。使用されている機械の種類、自動化の程度、加熱方法や温度、それぞれのプロセスにかける時間や攪拌の時間なども社により様々です。またこうしたプロセスははちみつのタイプによっても異なります。マヌカはちみつはゲル状(チキソトロピー)であるため、ほかのはちみつのより温度管理が難しいのです。

 

(2)ジョナサン・C・スティーブン博士がギョリュウバイ(学名Leptospermum scorpariumの亜種であるincanumおよびlifoliumが、特に抗菌力の高いマヌカを作ることをつきとめました。この亜種は北島北部および中部に見られるものです。スティーブン博士は、マヌカはちみつ研究の父とも称されるピーター・モラン博士(19432015)と同じ大学で共同研究をおこなっていたこともあります。

 

ジョナサン・C.スティーブン氏の博士論文(2006年、ワイカト大学)より引用

 「これらの要因がマヌカ (Leptospermum scorparium)はちみつのUMF値を左右する」

 この博士論文によれば、ニュージーランドに存在する上記二種以外のギョリュウバイ属にはmyrtifolium, parvum, prostratum, and scorpariumがあり、さらにはまだ名前のない、交雑による亜種も存在する。