生き物を世話する義務

はちみつの生産だけではなく、多くの果樹や野菜の受粉でも、人間はみつばちのお世話になっています。その一方で、セイヨウミツバチはもう、人間の知識とケア―つまり責任ある養蜂―なしには生き残ることができなくなっている、というのも事実なのです。 


人間は、飼っているいきものに対する責任があります。飼っているのがコンパニオン・アニマルであっても、家畜であっても、動物園や水族館といった教育目的の施設の生き物であっても、人間はその生き物に対する責任があります。病気の時にはその手当をするのも責任の一つです。

 

みつばちは家畜の一種ともいえますが、羊や牛などとは決定的に違うところがあります。それは、みつばちには、養蜂家(人間)が作った巣から出て行き、自分たちで巣を作る自由がある、ということです。とはいえ、大半のみつばちは、人間の管理下にとどまることを選んでいます。

 

動物の疾病の中には、人間の介入がないと生存不可能なものもあります。みつばちの場合、このような人間の介入が欠かせないのが、ミツバチヘギイタダニという寄生虫による疾病です。

 

ミツバチヘギイタダニは、もとはアジアに棲息していましたが、現在では世界各地に広がり、ほぼすべての国でセイヨウミツバチに寄生しています。このダニは、放置しておくとみつばちの生存を脅かすと考えられています。野生のみつばちの場合、このダニが蔓延すると生存は不可能であると見なされているのです。

 

ミツバチヘギイタダニ対策として、養蜂家は有機手法または非有機手法のいずれかを選択します。NZでは、はちみつの有機認定の条件の一つは、有機手法のみを採用していることです。弊社にはちみつを供給している養蜂会社はいずれも、有機手法はミツバチヘギイタダニ対策としては不十分であると考えており、みつばちをケアするという義務のために、非有機手法または有機・非有機混合手法を採用しています。

 ミツバチヘギイタダニの背景情報はこちら

 


NZ第一次産業省の見解

「化学的制御」、つまり一般的に言う殺虫剤には、有機物質と化学物質がある。殺ダニ剤が有機物質であれば、養蜂に携わる人間と、みつばちやはちみつに与える悪影響が少ないというわけではないと理解しておくことが肝要である」(NZ第一次産業省、バイオセキュリティ)

基準と価値の問題

 NZで初めてミツバチヘギイタダニが検出された2000年以降、有機認定をうけるはちみつ製造者の数は大幅に減少しました。非常に少数の製造者(10社以下だと思われます)は、営利目的の企業や団体に、多額の費用を支払い、現在も有機認定を受けています。有機認定のためにかかる費用は、こうした団体への支払だけではありません。ミツバチヘギイタダニの発生により死亡したみつばちの補充のためにも、さらにお金がかかります。このような費用をかけることが、はちみつに何かさらに新しい価値を付与するものだとは、私どもでは考えておりません。

みつばちを保護するべき理由

みつばちが人間に与えてくれるのは、はちみつだけではありません。花粉を運ぶいきもの(ポリネーター)でもあるみつばちは、生態系の健康性を高めます。みつばちの存在がなければ、私たちの食べられる植物は、風媒花である米やトウモロコシ、その他の穀類に限られてしまうのです。

 

 みつばちがいなければ私たちは、カボチャも、トマトも、アボカドも、キウイも、りんごも、柑橘類も、アーモンドやピーナツもない世界に生きることになるでしょう。

このほかにももうひとつ、みつばちが保護されるべき特別な理由があります。それは、みつばちは動物界で、自分たちが生きていくうえで、ほかの生き物や植物を
殺さない、唯一といえる種であることです。つまりみつばちは、彼らを取り巻く自然環境すべてに、好ましい働きをしてくれる生き物なのです。


※はちみつの有機認証に関する、JCI及びJCIへの供給元による見解は、現在のNZにおける養蜂の実情を反映したものにすぎません。そもそも有機認定には統一された世界的な基準はありません。

 

ダニ対策は、みつばちがはちみつを作る晩春から晩夏を避け、春と秋に実施されます。細心の注意をはらってダニ対策を行うことにより、殺ダニ剤がはちみつ中に混入することはありません。

 

出典

(1)Varroa mites (Varroa destructor). (Fact Sheet 50050-2021-Varroa-mites) Biosecurity New Zealand, Ministry for Primary Industries. https://www.mpi.govt.nz

ニュージーランド第一次産業省(2022)「ミツバチヘギイタダニ(仮題)」. NZ第一次産業省ウェブサイト、バイオセキュリティ概況報告書(邦訳なし).

https://www.mpi.govt.nz/dmsdocument/50050/direct / 2022年7月3日閲覧

(2) "The Plight of the Humble Bee". New Zealand Geographic. Nov.-Dec. 2003.

https://www.nzgeo.com/stories/plight-of-the-humble-bee/

アダム・フリッカー(2003)「慎ましきみつばち達の窮状(仮題)」『ニュージーランド・ジオグラフィック』2003年11-12月号. コウファイ・メディア(邦訳なし)

https://www.nzgeo.com/stories/plight-of-the-humble-bee/ 2022年7月3日閲覧

(3)"Managing Varroa Mites in Honey Bee Colonies". (Extension and Outreach―Small Farm Sustainability) Iowa State University.

https://www.extension.iastate.edu/smallfarms/managing-varroa-mites-honey-bee-colonies

デイヴィド・R・ターピーet.al (2017) 「ミツバチのコロニーにおけるミツバチヘギイタダニ対策(仮題)」アイオワ州立大学公開講座・中小農家の持続可可能性. アイオワ州立大学.(この資料はアイオワ州立大学がノースカロライナ大学の許可を得て転載した。邦訳なし)

https://www.extension.iastate.edu/smallfarms/managing-varroa-mites-honey-bee-colonies

2022年7月3日閲覧

A duty of care | updated 2022.11.21