日本の皆様からよく頂戴する質問は「このタイプのはちみつのいちばんおいしい食べ方は? 」「ニュージーランドではどんなふうに食べているの? 」というものです。
カヌカの場合、NZの人々も同じようなことを考えています。カヌカとマヌカは、味わいも質感もよく似ていて、ともに高い抗菌力を備えたはちみつです(1)(2)。
最近まで、カヌカは「マヌカ」として販売されてきました。ですから、カヌカのモノフローラルみつを、よく知られた「マヌカ」ではなく「カヌカ」として販売する利点や、カヌカそのものについての関心が低かったのも当然です。
マオリの民話では、この二種類の木は同じ家族で、背の高いカヌカが男性、背の低いマヌカが女性だとされています。
NZの養蜂家も、大半はこのマオリの民話と同じ考え方をしていました。つまり、カヌカの森に巣箱を設置し、採れたはちみつをためらいなくマヌカとして販売していたのです。養蜂家だけではなく、パッキング業者もまたカヌカはちみつに「マヌカ」と表示することに何の抵抗も感じませんでした。
2018年にNZ第一次産業省がマヌカはちみつの科学的定義を導入しました。しかしラボ検査では、カヌカは政府定義の「マヌカ」の要件を満たさない傾向があります。こうなることは1983年、カヌカがマヌカが属するギョリュウバイ属ではないとされた時点で予見できたことです。
「カヌカ」はマオリ語です。一般的には白マヌカ(カヌカの花は白色、マヌカはピンク色)とかホワイトティーツリーとかティーツリーなどの名で知られます。NZ原産のフトモモ科の植物で、学名はKunzea ericoidesです(3)。
カヌカは、『ニュージーランドの薬用植物』(New Zealand Medicinal Plants. S. G. Brooker, R.C. Cambie, R. C. Cooper. Revised ed. 1987. Reed Books, Auckland, NZ.)という書物の中で、薬草としてあげられています。
カヌカの樹皮、幹から採れるガム、葉、実莢を内服および外用薬とする民間伝承薬がたくさんあります。合衆国メリーランド州にある国立医学図書館(NLM)のデータベースでは、カヌカのはちみつ及びエッセンシャルオイルに関する学術論文が146本存在します。
これらの論文では、皮膚疾患へのエッセンシャルオイル使用に関するものがよく見られます(4)。近年ではクリームをはじめとする化粧品材料にカヌカのエッセンシャルオイルを使用する例が数多く報告されています。
タヒはカヌカはちみつが持つ、民間伝承薬の効能ではなく、そのおいしさを売り出しています。写真右では、朝食に、また野菜サラダの健康的なドレッシングとして利用しています。
タヒ・カヌカはNZ北島産です。商品ラベルには、マヌカのような抗菌力格付けは記載していません。
カヌカはちみつを数量限定品です。ハニーシェルフでお買い求めて頂けます。
出典:
(1) "Phenolic compounds and methylglyoxal in some New Zealand manuka and kanuka honeys"「ニュージーランド産マヌカおよびカヌカはちみつ中の、フェノール性化合物とメチルグリオキサール」。Stephens, J.M., et al. Food Chemistry (2010). And:
"New Zealand kanuka honey has high levels of methylglyoxal and antimicrobial activity"「ニュージーランド産カヌカはちみつには、高濃度のメチオグリサールが含まれ、抗菌活性も高い」Holt, S., et al. Journal of Alternative and Complementary Medicine (2012).
(2) マヌカ(和名ギョリュウバイ、学名leptospermum scoparium)とカヌカ(学名kunzea ericoides)の類似性の詳細についてはこちらをご参照ください。
(3)ニュージーランド政府はマヌカの基準の設け方に曖昧な点があります。第一次産業省による科学的定義が適用されるのは、マルチーフローラルあるいはモノフローラルどちらかのカテゴリの輸出用マヌカはちみつのみです。ニュージーランド国内で販売されるマヌカはちみつに関しては、成分のラボ検査は不要です。
(4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/ (2020年6月22日閲覧)