オーストラリアや合衆国の愛犬家の間では、犬の伝染性気管支炎(infectious tracheobronchitis. 英語圏では一般的にケンネルコフと呼ばれる)の天然薬として、マヌカはちみつの有効性が認められています。マヌカに備わる強い抗菌物質による治療効果です。
愛犬の空咳やむせ返るような咳が続くようなら、それは気管支炎かもしれません(1)。
犬が気管支炎にかかるのは、呼吸に伴いバクテリアやウィルスが気道に入ったときです。通常、気道は粘膜で覆われています。
この粘膜の働きで、炎症の原因となる物質が入ってきてもそれを喉の方に押し返す生体防御反応が起こるのですが、さまざまな理由でこの粘膜の働きが衰え、喉頭や気管が炎症を起こしてしまうのが気管支炎です。
犬の気管支炎の原因には次のようなものが考えられます。
よく見られる犬の気管支炎の症状は、長引くひどい咳です。くしゃみや鼻水、目やにの症状が出る犬もいます。
犬の気管支炎は感染性です。愛犬に上記のような症状が現れた場合には、他の動物から隔離して、動物病院を受診してください。
たいていの気管支炎は特別なことをしなくても治りますが、咳止めや百日咳菌に効く抗菌剤を服用することで、より早く回復したり、症状が緩和されたりする場合があります。
気管支炎を発症した犬の大半は、3週間以内に完治しますが、老犬の場合や他の疾患がある場合、回復に6週間程度要することもあります。長引く気管支炎は肺炎を引き起こすこともありますので、回復が通常より遅れている場合は、継続して受診することが大切です。
合衆国の『ドッグズ・ナチュラリー』誌Dogs Naturallyは、マヌカはちみつを天然の治療薬として気管支炎に用いることを勧めています(2)。
同誌のウェブサイトには「愛犬家の間ではずいぶん以前から、マヌカはちみつを傷口に塗ると怪我の回復が早まることが広く知られていました。マヌカは切り傷や火傷、傷や炎症の手当てにも利用できます」と記されています。
同誌はまた「マヌカは、気管支炎を発症した場合には内服も可能です。さまざまな症状を和らげることができます」とし、ティースプーン半分~1杯量のマヌカを、1日3回~4回与えることを勧めています。
オーストラリアのオンライン・フォーラムdogzonline.au.com. では、投稿者が愛犬家としての実体験を述べていますが、そこでも気管支炎の治療薬としてマヌカを用いることが熱烈に支持されています(3)。
注意: マヌカははちみつであり、当然のことながら糖分を多く含んでいますので、糖尿病の犬や肥満の犬には与えないで下さい。愛犬にマヌカを与えてよいかどうかが不明な場合には、事前にかかりつけ獣医にご相談ください。
NZでは犬の気管支炎はあまりみられません。これはたぶん土地の広さときれいな空気が、犬にとってもよい環境であるからだと思われます。それでも獣医療の現場ではマヌカが治療に用いられています。
オークランドにあるショア動物病院の獣医師、ニール・ワドル博士は、JCIへのEメールで次のように述べておられます。「私どもでは潰瘍性の傷の手当にマヌカを利用します。ずっと使ってきました。よくある処置方法だと思います。」
マヌカは、馬の外傷治療にも用いられています。Manuka Vet (獣医療のマヌカ)というウェブサイトでは、治療用としてさまざまなマヌカ製品を取り扱っています。ケンブリッジ(NZ)にある馬の病院リー・ド・クリフォード&ジョンソン・ロウは、馬の治療にマヌカを用いることを勧めています(4)。
註
(1)https://pets.webmd.com/dogs/kennel-cough-in-dogs#1
(2)https://www.dogsnaturallymagazine.com/manuka-honey-for-your-dog/
(3)https://www.dolforums.com.au/topic/243133-manuka-honey-and-kennel-cough/
(4)https://www.manukavet.com/
Canine health | updated 2022.1.26