花粉類がユーカリ

オーストラリア産「マヌカ」はちみつが日本の市場で目立つようになりました。オーストラリア産マヌカは、マヨネーズに用いられるようなソフト容器入りで低価格販売されていることが多いようです。また液体はちみつと言えるくらいの緩さで、色は淡く、透明です。

 

NZであれば、見た目だけでも、このようなはちみつを「マヌカ」だと思う人はまずいないでしょう。ではもしそのはちみつが本物のマヌカではないとしたら、その正体はいったい何なのでしょう?

 

それを解明するため、3種類のオーストラリア産「マヌカ」はちみつを、食品検査会社が科学的に分析しました。検査対象とされたのは、いずれも2019年上半期に日本国内で購入したはちみつです(1)

 

検査用サンプルにはそれぞれ「天然マヌカの花みつ」「マヌカ5+/MG83+」「マヌカMG30+」という表示がありました。この3種のはちみつを製造していたのは同一の会社でした。

 

「天然マヌカの花みつ」「マヌカ5+/MG83+」の2種は、蜜源の特定のために分析しました。検査を行ったのは、マッセイ大学のキャサリン・ホルト博士です(2)

 

この分析は、オーストラリア産「マヌカ」の原産地が、実際はNZではないかという疑念を検証するために実施されました(3)

 

「マヌカMG30+」と表示されたサンプルは、NZド第一次産業省が定義した、モノフローラル・マヌカあるいはマルチフローラル・マヌカのいずれかの基準を満たしているかを検証するために分析しました(4,5)

 

ホルト博士は、「天然マヌカの花みつ」(格付けなし)「マヌカ5+/MG83+」の2種は、実質的にユーカリプタスを蜜源としていることを突き止めました。

 

ホルト博士の報告は以下の通りです。「2種類のはちみつは、大半がユーカリプタス属の花粉で、少量のマヌカ(レプトスペルマム属)あるいはカヌカ(クンゼア属)花粉、そして各種フトモモ科の花粉があわせて検出された。

 

花粉構成の特徴から、この2種のはちみつはオーストラリア産である可能性が非常に高い」 表1にある通り、格付けなしのマヌカはちみつサンプルでは、花粉の63.7%をユーカリプタスが占め、5+ / MG83+表示のサンプルでは56.4%がユーカリプタス花粉です(原本のPDFは、表1の下でダウンロードできます)。

ホルト博士の結論は以下の通りです。「この2種類のはちみつは、オーストラリア産であることはほぼ確かであるが、いずれもマヌカはちみつとは見なせない。

 

「少なくともNZで用いられている花粉のガイドラインに照らした場合、あるいは官能特性・物質特性の点を見た場合、マヌカはちみつとは言えない」。

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マルチフローラル・マヌカでもない

アナリティカ・ラボラトリーズの検査では「マヌカMG30+」を冠したオーストラリア産はちみつは、NZ国内であればモノフローラルはおろか、マルチフローラル・マヌカと表示することさえ不可能な品質であることが判明しました。

 

成分分析の結果このはちみつは、NZ政府がマヌカはちみつの定義として求める5つの基準のうち、2つしか満たしていないことがわかりました(表2参照)



(1)このような情報提供のためには、検査を行った会社名や検査対象とした商品のブランド名を明らかにすることが必要ではありません。今回の分析については、ラボ検査報告書は弊社が確かに受領し、検査結果の真正性も確信しております。 検査は2019年3月から4月にかけて実施されました。

 

(2)キャサリン・ホルト博士は、マッセイ大学農学・環境学部(School of Agriculture and Environment)の上級講師です。マッセイ大学はニュージーランド北島のパーマストーン・ノースにあります。ホルト博士の専門は、花粉分析と環境回復です。大学での研究職に加え、博士は花粉(はちみつ中の花粉も対象)分析の業務にも携わっています。

 

(3)オーストラリア企業の中に、NZから品質のよくないマヌカをバルク輸入し、それをオーストラリアのブランドとして国外で販売しているところがあるのではないかという疑念からこの調査が実施されました。もし対象としたサンプルからNZでしか採れない花粉が含まれていたら、この疑念が的中していたことになります。しかしラボ検査の結果、検査したはちみつは品質の悪いNZ製マヌカではなく、オーストラリア産のユーカリプタスはちみつであることが確認されました。

 

(4)この検査はハミルトンにあるアナリティカ・ラボラトリーズが実施しました。同ラボは主として乳業・養蜂業の生産物を対象とする検査を行っています。

 

(5)NZ政府によるマヌカはちみつの規制が及ぶ範囲は、NZの企業に限られます。したがってオーストラリアその他の、NZ以外の企業は、NZの政府の規制に縛られません。しかし、NZのマオリの人々・マオリの養蜂関係者は、マオリ語である「マヌカ」の語の使用について国際的な権利を主張しており、またNZ政府もその立場を支持しています。マオリの人々は植民地時代、自分達の土地を不当に奪われるという苦難を経験しました。いま再びマオリの言葉が盗用されることは遺憾に堪えません。

 

The pollen source is Eucalyptus updated 2022.2.20